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接着コラム

【Glue Talk】接着剤とリサイクラビリティ:その重要性とは

26.03.27

本記事はH.B. Fullerのウェブサイトに掲載された技術ブログを積水フーラーが翻訳したものです。
記事原文は以下のリンクからご覧いただけます。
Adhesives and Recyclability: Why They Matter

執筆者:Elizabeth Staab(HHC プロダクト サステナビリティディレクター)

接着剤は、異なる材料同士を結合するための物質であり、数多くの製品の製造および加工工程において重要な役割を担っています。工業生産からハンドメイド用途、さらには日常的な消費財に至るまで、接着技術は現代の製品設計に不可欠な要素となっています。

包装分野において、接着剤は多様な用途で使用されています。例えば、ラベルの貼付、段ボールケースの封かん、軟包装における多層構造(ラミネーション)の接着などが挙げられます。使用量自体はごくわずかであっても、接着剤は包装全体の機能性や包装材料のリサイクル適性(リサイクラビリティ)に大きな影響を及ぼします。接着剤の化学組成や性能特性によっては、リサイクル工程において効率的に処理できる場合もあれば、異物として扱われ、回収材の品質低下を引き起こす要因となることもあります。

適切な接着剤を選定することは、単なる技術的判断にとどまりません。これはサステナビリティに関わる重要な意思決定でもあります。リサイクルプロセスと親和性の高い接着剤を使用することで、貴重な資源を効率的に回収・再利用することが可能となり、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向けた取り組みを支えることにつながります。

接着剤とサーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミー(循環型経済)は、資源を可能な限り長く使用し、廃棄物の発生を最小限に抑えるとともに、バージン原料への依存を低減することを目的としています。リサイクルはその中核を成す重要な要素ですが、高品質なリサイクルを実現できるかどうかは、包装設計に大きく左右されます。紙、プラスチック、そして接着剤といった異なる材料が分離・処理しにくい場合、リサイクル工程の効率は著しく低下します。その結果、再生材の品質が低くなる、あるいは最悪の場合、使用済み包装が埋立処分や焼却処理に回ってしまうことも少なくありません。

この課題において、接着剤は極めて重要な役割を果たします。包装全体に占める重量比はごくわずかであっても、その物性によってリサイクル適性(リサイクラビリティ)を左右する要因となります。リサイクル対応型として設計された接着剤は、被着材(基材)のリサイクルプロセスと整合するよう配合されています。使用時には十分な接着強度を発揮しつつも、リサイクル工程では基材を損なうことなく除去されたり、適切に処理されたりすることが可能です。このようなプロセス適合性は、高品質な再生材料を得るために不可欠です。

現在では、リサイクルを考慮して設計された接着剤が、段ボールケース、紙器(カートン)、ラベル、さらにはモノマテリアル構成の軟包装など、さまざまな用途で広く採用されています。これにより、ブランドオーナーや製造事業者は、欧州包装および包装廃棄物規則(PPWR)や、米国各州で導入が進む拡大生産者責任(EPR)制度への対応を可能としています。

素材回収を可能にする接着剤を選択することは、企業がサーキュラーエコノミーの実現に直接的に貢献することを意味します。リサイクルを前提に設計された包装と、それを支える適切な接着技術の組み合わせにより、資源は経済システムの中にとどまり続け、廃棄物の削減と環境負荷の低減につながります。


リサイクルにおける課題

包装のリサイクル適性を評価する際には、接着剤を含め、あらゆる構成要素が重要になります。接着剤は通常、包装重量に占める割合はごくわずかですが、リサイクル工程全体の効率に与える影響は無視できません。リサイクル技術と適合しない接着剤が使用されている場合、異物混入(コンタミネーション)を引き起こしたり、再生材の品質を低下させたりする原因となります。

  • 紙のリサイクル:紙のリサイクル工程において、接着剤は大きく分けて「除去される」か、あるいは「再生紙中に取り込まれる」かのいずれかの挙動を示します。適切に分解・分離されない接着剤は、「スティッキー」と呼ばれる粘着性の微粒子を発生させることがあります。これらのスティッキーは、再生パルプを汚染し、新たに製造される紙製品の品質を著しく低下させます。
    スティッキーは、紙巻取(リール)に欠陥を生じさせたり、製造工程中のリール切れを引き起こしたりするほか、抄紙機や周辺設備に付着して堆積し、生産ラインの停止や保守・メンテナンスコストの増加につながることもあります。そのため、適切な接着剤の選定と、国際規格に基づくリサイクル適性試験の実施が、紙・板紙リサイクルを可能な限り高効率で行うための重要な鍵となります。
  • プラスチックのリサイクル:プラスチックのリサイクル工程においては、ラベルおよびラベル用接着剤が特有の課題を引き起こします。接着剤には、優れた洗浄除去性(ウォッシュオフ性)や剥離性が求められます。水やアルカリ洗浄によって接着剤が適切に剥離・分散することで、洗浄工程においてラベルと接着剤層が確実に分離され、プラスチック表面に残渣を残さない状態が実現されます。
    一方で、洗浄工程で十分に除去・剥離されない接着剤は、再生プラスチック中に残留し、材料純度を低下させる原因となります。その結果、食品用途などの高品質用途への再利用が制限されるなど、リサイクル材の付加価値が大きく損なわれることになります。

軟包装材料のリサイクルは、リサイクル技術自体が現在も進化の途上にあることから、比較的難易度が高い分野とされています。例えば、メカニカルリサイクルは、単一素材(モノマテリアル)構成の包装であれば、樹脂の種類ごとに高い純度で選別されていることを前提に、非常に有効な手法となります。特に、軟包装用に設計されたラミネート接着剤の中には、H.B. Fuller が複数の認証・実績グレードを有しているように、このメカニカルリサイクル工程と高い適合性を示すものがあります。こうした接着剤を使用することで、使用済み包装から新たなPE(ポリエチレン)フィルムや、剛性のあるPP(ポリプロピレン)包装材を製造することが可能となります。

一方、ケミカルリサイクルや高度リサイクルといった先進的な技術については、依然として開発・実用化が進行中の段階にあります。加えて、これらの技術には多額の設備投資が必要となるケースが多く、こうした要因から、軟包装分野におけるケミカルリサイクルは、現時点では比較的小規模な取り組みにとどまっています。


H.B. Fullerにおけるサステナブル接着剤への取り組み

接着剤は包装全体の中では小さな構成要素に見えるかもしれませんが、リサイクル工程の効率や再生材料の品質に与える影響は非常に大きいものです。サーキュラーエコノミーの実現を支える高品質な再生材を得るためには、リサイクルプロセスと適合した接着剤を選定することが不可欠です。H.B. Fullerは、リサイクラビリティを実現する接着剤の開発において業界をリードしており、リサイクル工程との適合性を考慮して設計された多様なソリューションを提供しています。これらの製品は、信頼性の高い第三者認証機関による認証を取得しており、業界基準への適合を確保するとともに、高品質な材料回収を可能にしています。

製品開発にとどまらず、H.B. Fullerは、グローバルなサステナビリティ関連イニシアティブや業界団体と積極的に連携し、リサイクル技術、試験方法、認証制度の最前線を常に追い続けています。さらに、当社では既存製品および新規接着剤ソリューションの性能を検証するため、自社内に評価・試験設備への投資も行っています。これらの取り組みを統合することで、お客様は包装性能を損なうことなく、リサイクル関連規制への対応、廃棄物の最小化、そしてサステナビリティ目標の達成を可能にすることができます。


アクションを起こしましょう!

リサイクルを前提とした包装設計は、設計段階から始まります。特に接着剤の選定は、包装材が使用後に効率よくリサイクル工程で処理できるかどうかを左右する重要な要素です。リサイクル対応型の接着剤へ切り替えることは、環境目標の達成に向けた、シンプルでありながら非常に効果的な一歩となります。

包装のサステナビリティ向上に取り組む準備はできていますか?リサイクラビリティを実現する接着剤の選定や、サステナビリティ目標達成に向けた最適なソリューションについて、ぜひこちらの各種お問い合わせフォームからご連絡ください。専門知識を持つスタッフが、貴社の包装設計をサポートします。