接着コラム
【Glue Talk】ボンディング剤の基礎知識
26.10.23

本記事はH.B. Fullerのウェブサイトに掲載された技術ブログを積水フーラーが翻訳したものです。
記事原文は以下のリンクからご覧いただけます。
▶ A Guide to Bonding Agents
執筆者:Marcus Hunter(ボンディング剤担当コマーシャル・ディレクター)
ボンディング剤に関しては、「Small is Mighty(小さくても強力)」という言葉が当てはまります。橋梁の支持部材や大型トラックのエンジン、貯蔵タンクのライナーなどに使われるゴムと金属を接合するには、髪の毛1本の太さよりも薄いボンディング剤の層があれば十分なのです。
独自の特性をもつこれらの製品を最大限に活用するには、ボンディング剤の仕組みやそれを利用する産業、そして用途に最適な製品の選び方を理解することが不可欠です。
ボンディング剤と接着剤の主な違い
ボンディング剤と接着剤は、根本的に異なる製品です。感覚的には、ボンディング剤は液状のときはマニキュアに、硬化後は乾燥した塗料に似ています。一方、接着剤は一般的に、触れると粘着性があります。指で触れると接着剤にはくっつきますが、ボンディング剤には(液状でも乾燥していても)くっつきません。
ボンディング剤と接着剤:塗布方法
ボンディング剤と接着剤では、製造工程のなかで塗布するタイミングも異なります。一般的に接着剤は、一方の被着体(接着される材料)に直接塗布され、その上にもう一方の被着体が重ね合わされます。硬化に熱や圧力、あるいは時間を要する接着剤もあれば、ブチルテープのように即座に接着し、粘着性が持続するものもあります。
これとは対照的に、ボンディング剤は必要に応じて、使用の数日前、場合によっては数週間前に被着体へ塗布しておくことができます。完成品メーカーや部品サプライヤーは、部品にボンディング剤を塗布して乾燥させた後、その部品を保管したり、製造現場へ輸送したりできます。このように被着体をあらかじめ準備しておくことで、メーカーは以下の点で柔軟性を高められます。
- 必要に応じた部品前処理の外部委託
- 製造工程の削減による時間とコストの節約
- 一貫性を確保するための、製造上の変動要因の排除
ボンディング剤と接着剤:強度
接着剤による接合には剥がれるものもありますが、高分子化学者は、接合する素材そのものよりも強固なボンディング剤を設計・調合します。顧客が接着強度を確かめようと製品を引き剥がしたとき、破壊されるのはボンディング剤ではなく、被着体であるべきなのです。
ボンディング剤が実現するマルチマテリアル設計
ボンディング剤は一般的に、ゴムを金属、プラスチック、またはファブリックと接合します。こうした異種材料を組み合わせる製品は、2つ(あるいはそれ以上)の被着体が持つ長所を融合させることで、設計やエンジニアリングにおける新たな可能性を切り拓きます(図1)。
当社は、バッテリーパックや管理システムの信頼性と安全性を向上させるため、お客様との協業の機会を常に模索しています。

耐振動性:金属+ゴム
ゴムと金属の接合技術により、金属の強度や剛性と、ゴムコンパウンドの防振性、シール性、低弾性率といったエラストマーとしての特性を兼ね備えた部品を製造でき、幅広い用途に展開できます。
ゴムと金属を組み合わせることで、振動の影響が緩和され、製品の耐久性と機能が向上します。例えば、ゴムを用いた自動車のシャシーマウントは、乗員に快適な乗り心地をもたらします。
金属とゴムを接合するボンディング剤は、加硫と呼ばれる工程で活性化します。ボンディング剤は高温に加熱され、圧力をかけて被着体に圧着されます。その分子鎖が活性化し、接合する被着体と架橋結合することで、極めて強固な接合が形成されます。
軽量性:プラスチック+ゴム
ポリアミドやポリウレタンといったエンジニアリングプラスチックは、多くの産業で金属の代替品として採用されています。これらは金属より安価で軽量なことが多く、特性をカスタマイズすることも可能です。ゴムとプラスチックの接合にも、金属とゴムの接合と同様の利点があります。すなわち、過酷な使用条件下で製品を保護し、その性能を向上させるのです。
しなやかな強さ:ファブリック+ゴム
産業用ファブリックは、強度と柔軟性を兼ね備えています。特に過酷な用途では、ゴムとファブリックを接合することで耐久性をさらに高められます。例えば、エンジンの内部で駆動するタイミングベルトには、柔軟性に加えて、塩分、振動、極端な温度変化といった路面環境や走行条件に耐える性能が求められます。ボンディング剤を用いてゴムとファブリックを組み合わせることで、この難しいバランスを実現しています。
ボンディング剤の産業および用途
ボンディング剤は、接合部の破損が許されない産業で使われる製品に、恒久的な接合を提供します。輸送、鉱業、製造業などの分野では、過酷な条件下での長期使用においても製品が損なわれないよう、こうした専用のボンディング剤が使用されています。
ボンディング剤の主要用途は輸送分野
H.B. FullerでEIMEA(欧州・インド・中東・アフリカ)地域のボンディング剤担当コマーシャル・ディレクターを務めるMarcus Hunterは「ボンディング剤市場の大半を占めているのは輸送機器業界です。ボンディング剤は金属とゴムを接合して振動を最小限に抑える役割を果たすため、全用途の約70%を輸送機器分野が占めています」と説明します。
輸送分野には、自動車、トラック、船舶、鉄道などの用途が含まれます。ボンディング剤は、化学物質への曝露、温度変化、動的応力、疲労といった過酷な使用環境下でも長期間持続する接合部を形成します。ほかにも数多くの分野で使用されており、以下はその一例です。
- 防振部品
- ローラーやベルト
- 電気コネクタ
- ステーターおよびシール
- 採鉱設備向け格子板(グレート)
高摩擦環境で求められる水系ボンディング剤の性能
輸送機器業界では、ボンディング剤はブレーキパッドやクラッチといった摩擦負荷の大きい自動車部品で重要な役割を担っています。これらの部品は、乗用車、トラック、大型トレーラーなどの安全性と機能にとって不可欠なものであり、ブレーキが故障すれば重大な事態を招きかねません。
摩擦が生じる部品に使用されるボンディング剤は、高温、極端な温度変化、腐食性化学物質や材料への曝露、および機械的応力に耐えうるものでなければなりません。
多くの自動車部品メーカーが、摩擦が生じる部品の製造にH.B. Fullerの水系ボンディング剤製品群を採用しています。溶剤系ボンディング剤と比べて、水系製品は揮発性有機化合物(VOC)の排出量が少なく、作業時に必要な個人用保護具も少なくて済みます。
Hunterは「私たちにとって、水系技術こそが未来です。私たちは溶剤系との差を埋め、価格・性能の両面で競争力を高めるための研究開発に投資しています。摩擦用途では、当社の水系ボンディング剤の性能はすでに溶剤系を上回っています」と話しています。
摩擦技術では、H.B. Fullerの水系ボンディング剤は、以下の点で溶剤系製品を上回ります。
- より高い耐熱性
- より高い耐食性
- 硬化待ち時間をなくすことで生産時間を短縮
製造・軍事・建設業界におけるボンディング剤の用途
輸送分野以外では、さまざまな工場で、ローラーやコンベアベルトのゴムと金属を接合するためにボンディング剤が使用されています。ボンディング剤は、継続的な使用に耐えるために必要な高い引き裂き強度を発揮します。そのほかにも、以下のような用途があります。
- 空港の搭乗橋(ボーディングブリッジ)やフォークリフトの車輪
- 騒音を低減し、快適性を向上させる戦車の履帯(キャタピラー)
- 石油・ガス用ポンプライニング
- 配管コーティング
- 交通による応力を最小限に抑える橋梁の支持部材
ボンディング剤のサプライヤーを選ぶ際に優先すべきこと
ボンディング剤は、過酷な負荷のもとで20年から30年にわたり確実に性能を維持しなければなりません。そのため、長年の実績と豊富な経験によって製品の耐久性を実証してきたサプライヤーを選ぶことが重要です。また、ニーズに最適な製品を確実に入手するためには、多様な選択肢を提供するサプライヤーを選ぶことも大切です。
サプライヤーは、自社製品が性能要件を満たしていることを実証できなければなりません。ボンディング剤が、公的に認められた規格に基づいて試験されていることを示す証拠を確認してください。
Hunterは次のように説明します。「サプライヤーは、最終用途や顧客の仕様に応じて、目的に適した製品、ワンコート(1回塗り)の製品、そして高性能なボンディングシステムを提供できる必要があります」
ワンコートシステムは、コストを低減し、生産を簡素化します
H.B. FullerのCILBOND®ボンディング剤には、ワンコート(1回塗り)システムが用意されています。ワンコートシステムでは、ボンディング剤の塗布前にプライマーを塗る必要がなく、プライマーを使う従来方式と同等の耐環境性とゴムの引き裂き強度を維持できます。主な利点は以下の通りです。
- 材料費の削減
- 工程時間の短縮:材料の準備、塗布、乾燥の各時間を半減
- 揮発性有機化合物(プライマー由来)の低減
- SKU(在庫管理単位)の集約による管理対象製品数の削減
H.B. Fuller:実績と信頼のあるボンディング剤サプライヤー
創業から130年以上の歴史を誇るH.B. Fullerは、ボンディング剤の活用を成功に導くための専門知識と経験を備えています。また、幅広い製品ポートフォリオに加え、独自の水系技術やワンコート技術を提供することで、競争優位性を確立しています。
※本記事で紹介している各種ソリューションについてご質問やご要望がありましたら、各種お問い合わせフォームからご連絡ください。
