持続可能な未来工場を目指す積水フーラー滋賀工場 ~ 多角的連携と自然災害の少ない立地を活かして ~

24.05.10

積水フーラー滋賀工場は、自然災害の少ない滋賀県甲賀市に位置し、親会社の積水化学工業株式会社滋賀水口工場の敷地内で、住宅建材用接着剤・シーラントや包装用ホットメルト接着剤を生産等しています。サステナビリティに貢献する製品の開発や省エネ対策、自家発電システムなど環境への配慮に取り組みながら、多様な製品のスピーディーな生産を可能にしつつ、持続可能な未来の工場を目指しています。

山々に囲まれた自然災害の少ない滋賀工場の立地

積水フーラーの滋賀工場は、JR西日本・草津線の三雲駅から約2km、車で5分ほどの場所にあり、積水化学工業の滋賀水口工場の敷地内にあります。滋賀水口工場の敷地は約43万平方メートルと非常に広大で、その中に積水フーラーの工場や研究施設が併設されています。積水フーラー滋賀工場の面積は、浜松工場と同じく約1.8万平方メートルです。工場は山々に囲まれ、自然豊かな環境の中に位置し、敷地内には竹林もあります。

甲賀市は、大規模な自然災害の影響が少ない地域として知られています。特に、海から離れているため津波のリスクがなく、山岳地帯に囲まれているため、洪水や台風の影響も他の地域と比べて軽微です。

滋賀工場の強み：多角的連携による競争力強化と地政学的優位性

滋賀工場は、自然災害のリスクが低く、安定した生産活動を行える地政学的に有利な立地を特徴としていますが、最大の強みは、積水関連の複数の企業が連携して運営されている点です。積水化学工業、セキスイボード、積水化成品工業、積水フーラーなど、異なる分野の企業が協力し、高い技術力と安全管理を共有しています。この連携は「4SR会（Four Sekisui Relations）」というプラットフォームを通じて実現され、物流関連の協力会社とも定期的に意見交換を行い、多様な視点と知見を融合して競争力を強化しています。

住宅建材用変性シリコーン接着剤・シーラント：スピーディーな多品種生産と実績

滋賀工場では、積水フーラーの成長をけん引する、住宅・商業・産業・建築用に使用される変性シリコーンの接着剤およびシーリング材を生産しています。住宅建材の分野では、外壁タイルや屋根瓦、床、壁など幅広い用途に供給しているため、建材の色調に合わせた多様な製品製造が求められ、スピーディーに多品種生産をする体制が整っています。最近では、耐火性能を付与した「耐火シーラント」、抗菌性能を付与した「抗菌GooD!」など、機能性を高めたグレードの開発・販売も行っています。また、土木インフラの分野においても、青函トンネルの防水にも使用され、オーストラリアのトンネルや橋梁に使用されるなど多くの実績があります。

包装用ホットメルト接着剤：環境への配慮と社会課題の解決

浜松工場では、紙おむつなどの衛生材料向けのホットメルト接着剤を生産し、滋賀工場では国内トップシェアを誇る段ボール封かん用製品を製造しています。滋賀工場では、作業者や環境にやさしいオレフィン系ホットメルト接着剤をはじめ、顧客の要求に応じて、100種類以上の包装用接着剤を開発しています。

最近では、特に環境に配慮したサステナブルな製品開発に注力しており、2022年に発売した「SFグリーンメルト」は、バイオマス原料を配合して設計されています。この製品は、地球環境のために石油資源の節約とCO2の削減に寄与しています。

また、荷崩れ防止用のホットメルト接着剤「滑り止め用ホットメルト」は、物流の2024年問題の解決にも寄与します。従来のストレッチフィルムと比較して、プラスチックゴミを80％削減し、積み替え時間を80％短縮、コストを70％削減することができます。さらに、ホットメルト接着剤を使用すれば、フィルムを剥がすためにカッターを使う必要がなく、作業者の安全も確保できます。これにより、箱を傷つけたり紙が破れるといった意匠性の心配も解消されます。

滋賀工場の持続可能なエネルギー活用と製品開発・省エネへの取り組み

サステナビリティ貢献製品

積水化学グループでは、自然環境や社会環境の課題解決に貢献度が高い製品をサステナビリティ貢献製品と認定しています。積水フーラー滋賀工場で生産しているサステナビリティ貢献製品は、変成シリコーンの「シーリング剤超耐候シリーズ」と「弾性接着剤」、包装用ホットメルト接着剤「advantraⓇシリーズ」、そして「SFグリーンメルトシリーズ」です。

変成シリコーンのシーリング剤超耐候シリーズは、住宅用シーラントとして、従来品比約2倍の耐久寿命を有し、廃棄物の発生を抑制します。
変成シリコーンの弾性接着剤は、衝撃や材料に発生する応力・変形を接着剤が吸収し、長期間にわたり必要強度を維持します。また、弊社汎用品の2倍の耐久性があるため補修工数及び廃棄物を削減することが可能です。
包装用ホットメルト接着剤advantraⓇシリーズは、優れた加熱安定性と塗布量削減の効果で、生産効率の向上及びCO2の削減に貢献します。また、低温塗布など豊富なラインナップで、使用エネルギーコストを約30％削減します。
SFグリーンメルトシリーズは、石油由来原料と比べて環境負荷が少ない再生可能資源であるバイオマス原料を用いた接着剤です。石油由来の接着剤と変わらない使い勝手と接着性能と提供し、石油資源節約とCO2の削減に貢献します。

省エネへの取り組み

滋賀工場では、エネルギー使用状況を定期的に確認することで無駄を発見し、効率的な運用を実現する省エネパトロールを実施しています。また、消費電力が低く寿命の長いLED照明や高効率モーターの導入により、エネルギー消費を削減するほか、スチームトラップやフィルターの定期点検を行い、設備の効率を維持しエネルギーの無駄を防いでいます。

自家発電

滋賀工場はすべての電力を積水化学滋賀水口工場の自家発電で賄っています。この取り組みによって、積水化学グループが目標としている2030年までに再生可能エネルギー比率100％（外部から購入したエネルギーをすべて再生可能エネルギーにする）を達成しています。

また、積水化学工業水口工場全体として、2013年にメガソーラー（大規模太陽光発電所）を設置しました。約2万㎡の敷地で年間約2,000MWh発電しており、発電した電力は全て電力会社に供給販売しています。太陽光発電により、年間約1,000tのCO2発生量の削減に貢献しています。

コージェネレーションシステムによるエネルギー効率向上

積水化学滋賀水口工場では、コージェネレーションシステムを導入し、発電時の排熱を工場内で再利用しています。このシステムにより、暖房や温水供給、加熱工程に利用することでエネルギー効率を向上させ、外部からのエネルギー供給量とCO2排出量を削減します。このような持続可能なエネルギー利用は、運営コストの削減にも寄与しています。

可視化・自動化・環境負荷低減への取り組みによって未来の工場を実現

滋賀工場では、環境への取り組みとして、4M（Man＝人、Machine＝機械、Material＝材料、Method＝方法）のフレームワークを活用し、品質管理や製造オペレーションの改善、生産ロス対策を進めています。自動化によって、人が関わらなくても製品を製造できる環境を整えつつ、作業者が最適な温度条件で操作できるようにしています。

現在、生産現場では温度、圧力、流量（水・空気など）を現場の人々が天候などの条件に合わせて調整していますが、これを口頭で伝承するのではなく、可視化し、効率的に自動化へ移行することが重要です。このプロセスには時間がかかりますが、現場の声を尊重しながら進めることで、スタッフに無理なく導入を促進しています。

さらに滋賀工場では、H.B. Fullerのケンタッキー州パデューカ工場のマザープラントを手本に、ラインの少人化をはじめ、高齢化社会に対応できる未来の工場を目指しています。日本においては、コストと規模のバランスを考慮しつつ、徐々に改善していく難しさがありますが、人手による管理を減らし、作業工程の削減を図ることで、環境負荷の低減と生産効率の向上を実現し、お客様に4Mの要素をしっかり説明できるよう努めています。そして、最適化されたプロセスによって作業時間を短縮し、すべての関係者にとってWIN-WINの関係構築に向けて取り組んでいます。

小池工場長からのメッセージ：全てのステークホルダーの信頼を築くものづくり

滋賀工場を統括する小池工場長は、「工場の使命として、お客様やすべてのステークホルダーにご満足いただける製品をお届けすることを心がけています。社員が安心して安全に働ける環境を整え、笑顔でいられるよう、安全性の高いものづくりを続けてまいります。積水フーラーの滋賀工場は、住宅建材用変成シリコーン接着剤・シーラントおよび包装用ホットメルト接着剤の生産拠点であり、さらにお客様と共同で試作品の開発もできる研究開発拠点でもあります。2024年にはクリエイティブラボが新たに開設され、現場でお客様とのディスカッションやアイデア出しが行えるようにもなりました。お客様のニーズに合わせた最適な接着剤を提供できるよう、滋賀工場でお手伝いさせていただきます。ぜひお気軽にお問い合わせください。」と話しています。

積水フーラー滋賀工場

〒528-0056 滋賀県甲賀市水口町泉 1259
お客様お問い合わせフリーダイヤル：0120-29-6771